その1
魔術とは?

  • 教授
     魔術基礎講座へようこそチーくん、テンちゃん。
     二人の先生を担当する教授じゃ。よろしく頼むの。
  • チーくん
     よろしくお願いしまーす!
  • テンちゃん
     よろしくお願いします。
  • 教授
     さて、早速じゃが二人は魔術についてどれだけ知っているかの?
  • チーくん
     えーっと…。
     火とか水を出して操る技術…かなぁ?
  • テンちゃん
     人それぞれに属性があって…それを複合することで新しい属性を生み出すことができるって、聞いたことがあるくらいですかね…?
  • 教授
     ほっほっほ!二人とも正解じゃが、あんまり知識は無いようじゃの。
     ではまずは、魔術そのものについて解説していこうかの。

     そもそも魔術というのは、「力を用いる技」の略称じゃな。 先程チーくんやテンちゃんが言ったように、属性を帯びた魔力を用いて火や水を起こし、それを操ることができるのじゃ。
     この魔術を扱える者のことを、魔術師と呼んでいるわけじゃ。
  • チーくん
     ねー教授。
     魔術と魔法って違うの?
  • 教授
     いい質問じゃな!
     結論から言えば、魔術と魔法は全く違うと言っても過言では無いのじゃ。
     ここでひとつ簡単な例を出そう。
     
     水を弾丸のように撃ち出す魔術と魔法があったとしよう。どちらも水を弾丸のように撃てるのじゃが、
    魔術は水を用いた他の攻撃、例えば水をカッターのようにして攻撃する魔術も扱えるのに対し、
    魔法は水を弾丸のように撃ち出すことしか出来ん。
     つまり、魔術は水を用いさえすれば様々なことが出来るが、魔法は一つのことしかできない、という事じゃな。
  • テンちゃん
     えっ!?
     それだったら、魔術の方が優れているということですか?
  • 教授
     実はそうでも無いのじゃよ。
     魔術というのはひとつの例外もなく、八つの属性のどれかを用いて行使するのじゃ。逆に言えば、属性を越えたもの。例えばテレポートであったり、相手の心を読む、といった行為は魔術では使うことが出来ん。
     反面、魔法というのは属性に縛られていない為、中にはテレポートであったり、相手の心を読むことが出来る者もおる、という事じゃ。
     つまり、決まった範囲の中で自由に出来るものが魔術一つしか使えない代わりに属性に縛られないのが魔法ということじゃな。
  • チーくん
     へぇ〜!
     魔術は汎用性に優れてて、魔法は強力ってイメージなのか!
     どっちもすごいなぁ!
  • 教授
     ちなみにじゃが、君たちは魔族を知っておるな?
  • チーくん
     もちろん!
     僕の友達にもいるよ!
     彼の持つドラゴンのシッポがかっこいいんだ〜!
  • テンちゃん
     私は親戚に魔族がいます。
     その人は下半身が馬で、走るのがとっても速いんですよ。
  • 教授
     そう。魔族というのは、体のどこかに人間以外の生物の要素を併せ持つ者の事を指す。
     しかし、それ以外にも魔族特有の性質があるのじゃよ。
     それこそが魔法じゃ。

     魔法というのは「族の扱う則」という言葉の略称でな。
     人間は魔力操作が苦手な故、魔力を属性へと変換して魔術を扱うのじゃが、魔族は魔力操作が得意な故、魔力をそのまま行使する事が可能なのじゃ。
     この種族の違い故、魔術と魔法は区別されておるのじゃな。
     じゃから今回は、人間の扱う魔術について学んでいくぞ。
     ここまでは二人とも大丈夫かの?
  • チーくん
     はーい!
  • テンちゃん
     大丈夫です。
  • 教授
     ではお次は、魔力について話をしようかの。